基本構造と操作

icon_01.gif 基本構造と操作   icon_01.gif 基本構造   icon_01.gif 取付說明例


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当社のパウダークラッチ・ブレーキはトルクの伝達にパウダー(磁性鉄粉)を使用するもので、流体クラッチのなめらかさ、摩擦板式クラッチの連結時の高能率などの長所を兼ね備えています。

社は各種類の電磁クラッチ・ブレーキを生産しており、豊富なアプリケーションと実績により多くのノウハウを蓄積して、お客様のご要望にお応えできます。

当製品は数多くの特長を生かし、紙、糸、電線、各種シート、テープ類などの長尺物の巻取り・巻出し用アクチュエータとして張力制御に欠かせないものとなっています。

そのほか、緩衝起動用、動力吸収用あるいは過負荷安全装置(トルクリミッタ)などにも適しています。

 item-01.gif広範囲の制御が容易

励磁電流の変化に対応して伝達トルクが連続的に変化しますので、伝達トルクは広範囲にわたって簡単に制御できます。。

item-02.gif連続スリップ運転が可能

パウダーを使用することにより、動作面は連続スリップが可能であり、またスリップ回転速度に関係なく常に安定した伝達トルクが得られます。

item-03.gif安定したトルクが得られる

動作面形状、迷路形状等により常にパウダは正常に動くため、 電流のON/OFFを繰返しても安定したトルクが再現できます。

item-04.gif鳴き音がない

摩擦板方式で見られた動作面でのスティックスリップがないため、静音運転ができます。

item-05.gif熱容量が大きい

耐熱性にすぐれたパウダーを使用し理想的な冷却構造をしておりますので、過酷な連続スリップ運転でも使用できます。

item-06.gifスムーズな連結・駆動が可能

 静摩擦係数と動摩擦係数はほぼ等しいため、完全連結時のショッ クもなく、負荷に応じた加減速度が得られます。


icon-02.gif動作特性

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ここでは、起動時間を制御したいとき、高頻度の繰り返し動作を検討するときに必要な動作特性を説明します。 上図はパウダクラッチの連結時と開放時の動作を示しています。コイルに電圧を印加しますと、励磁電流はコイルの抵抗R とインダクタンスLによって決まる時定数(T=L/R)によって指数関数的に上昇します。トルクは励磁電流のそれよりごくわずか遅れて、駆動側と被動側のスリップ回転速度に関係なく、励磁電流に追従して設定トルクまで上昇します。そのトルクで引き続き負荷を加速します。
つまり、駆動側と被動側が完全連結しなくても、設定トルクまで立ち上ることが可能です。この特性はクラッチの 熱容量が大きいことと併せて、緩衝起動、停止や高速起動停止に対して理想的な特性です。
とくに急速な連結や制動が要求される場合は、コイルに直列抵抗を入れて時定数を小さくして高電圧電源で励 磁したり、定格電圧の2~3倍の電圧をトルク立上り時間だけ過励磁することによって、トルクの立上りを早くすることができます。定格励磁のときはコイルの時定数Tの約4~5Tでトルクは完全に立ち上がります。また反対 に励磁を遮断したときに、トルクが消滅するまでに要する時間は約1T程度です。
各機種ごとのコイルの時定数は各々の仕様表をご参照ください。

icon-02.gif許容連続スリップ工率(発熱量)

パウダークラッチ・ブレーキは連続スリップで使用可能ですが、スリップによる発生熱でパウダーをはじめとするクラッチ・ブレーキの各部の温度上昇を制限するため、各機種ごとに許容連続スリップ工率ー が設けてあり、その範囲内で使用する必要があります。

なお、許容連続スリップ工率は自然冷却・強制空冷などによってその値が異なります。その値は各機種 ごとに示していますが、自然冷却のときは入力回転速度によって、その値が異なりますのでご注意ください。 

icon-02.gif許容連結仕事量

クラッチ・ブレーキで慣性を有する負荷を起動・制動すると、パウダーと動作面がスリップし、摩擦熱を発生します。

この発生熱はパウダをはじめクラッチ・ブレーキの各部の温度を上昇させます。この発生熱が過大な場合、摩擦部の温度が異常に上昇します。これを防ぐため、各機種ごとにそれぞれ許容連結仕事量が定められています。したがってこの範囲内で使用する必要があります。

 icon-02.gif空転トルク

励磁電流を完全に遮断しても、パウダーの残留磁気、ベアリングのグリース、シールなどの摩擦による機械損失によって空転トルクが生じます。 この空転トルクは機種によって異なりますが、加速比が大きくなれば、その機械損失はトルク制御に影響しますので、ご注意ください。

 

icon-02.gifならし運転を行ってください

輸送中のショック等によりクラッチ・ブレーキ内部でパウダが偏在するので、正規運転に入る前にならし運転を行ってください。

 icon-02.gif強制空冷の場合

 icon-01.gifエアフィルタを設けてください。

 冷却用エアとして使用する圧縮空気には、油や水分が含まれている可能性があります。必ずエアフィルタ(完全脱油式)を通した清浄な乾燥空気を使用してください。(エアフィルタを通さない圧縮空気を使     用しますと、水分や油分のためパウダーが湿り、性能が著しく低下します)        

 icon-01.gif配管が長い場合、分岐配管がある場合、規定量以上の風量が出ているかをご確認ください。

icon-02.gif熱遮断・熱パイぴ冷却式について

  icon-01.gif 軸流ファン(ブロワ)を設けていますが、この軸流ファンの能力が低下しますと放熱が悪くなり、許容連続スリップパワーの低下を招きますので、周囲には空間を設けて取り付けるようにしてください。特に周囲環境が悪く、軸流ファンのガードに異物が付着する可能性がある場合は、定期的に清掃するようにしてください。

  icon-01.gif固定子の外周に温度を検出するサーマルスイッチを設けていますので、必ず警報装置などに接続するなどして検知するようにしてください。 

icon-02.gif選定について

 icon-01.gif許容連続スリップパワー内であっても、定格トルクを超えては使用できません。

 icon-01.gif張力の制御範囲が広い時、複数のクラッチを設置して切換え使用することがありますが、この時、使用しない方のクラッチの出力側が強制的に空転しないよう電磁クラッチなどで切り離してください。

icon-02.gif起動時の異常トルクについて

運転パターン(※)によっては、起動時に所定より一時的に高いトルクが発生することがあります。この対策として、停止中もコイルに弱励磁電流を流します。(※コイル電流をONした後に回転を与える、もしくはコイル電流のONと同時に回転を開始する)